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メスティンとは?飯盒との違いと意味|実は日本の飯盒が80年古い

切り株の上に並べた四角いアルミのメスティンとそら豆型の兵式飯盒

私もメスティンを知らなかったのですが、キャンプ好きな友人が使っているのを見て、欲しくなってめちゃ調べました。調べていていちばん引っかかったのが「これ、飯盒と何が違うの?」でした。週3で焚き火をしている私が、そのときに調べたことと、実際に炊いてみた話を書きます。

この記事でわかること

  • 結論: メスティンと飯盒は同じものです。違うのは「呼び方」「形」「成り立ち」の3つだけ
  • メスティンの意味: 英語の mess tin=軍隊の食事+ブリキ缶。もとは兵士の食器で、ご飯を炊く道具ではありませんでした
  • どっちを買うか: トランギア・ダイソー・兵式飯盒の使い分けと、私が固形燃料で炊いたときの手順

この記事の結論(先に要点)

メスティンは飯盒です。英語で mess tin と書き、日本語に訳すとそのまま「飯盒」になります。別の道具ではありません。ただし、飯盒と言われて浮かぶのはそら豆型の兵式飯盒で、メスティンは四角いアルミの箱型。そして成り立ちも違って、飯盒は最初から米を炊くために改良されてきた道具、メスティンはもともと兵士が食事を受け取るための器でした。同じものなのに使われ方が違う、というのがいちばん正確な答えです。

目次

【結論】メスティンと飯盒の違いは「呼び方・形・成り立ち」の3つだけ

先に3つの違いを並べます。ここだけ読めば、この記事の答えは足ります。

 メスティン飯盒(兵式飯盒)
呼び方英語 mess tin をそのまま読んだもの日本語。mess tin の訳語がそもそも「飯盒」
四角い箱型。取っ手が折りたためるそら豆型。吊り下げ用の弦(つる)がつく
成り立ち兵士が食事を受け取る器。炊飯は想定外だった最初から炊飯用に改良。2合・4合の水量線つき
容量750ml・約1.8合まで(トランギア TR-210)4合炊きが標準
得意なことソロ。固形燃料で放っておくだけの自動炊飯、蒸す・焼くの万能さ複数人分。焚き火に吊るす、中子でおかずを同時に作る

つまり「別の道具」ではなく、同じ道具の呼び名と形のバリエーションです。「飯盒って呼ぶな」のような話も見かけますが、実際は「メスティン飯盒で炊いております」と平気で混ぜて使っている人のほうが多いくらいです。

メスティンとは?言葉の意味と、取っ手が外せる四角い飯盒

メスティンとは、取り外し(折りたたみ)できるハンドルが付いた、四角いアルミの飯盒です。

言葉の意味は英語の mess tin。mess は軍隊での食事や会食を指し、tin はブリキ缶・金属の容器のことです。合わせて「食事の缶」、つまり兵士の携帯食器を意味します。

メスティンで有名なのがスウェーデンのトランギアで、オリジナルのメスティンの生産は1970年代にスウェーデンで始まりました。定番の TR-210 の公式スペックはこうなっています。

  • サイズと重さ: 16.5×9×6.5cm・155g。アルミ無垢でとにかく軽い
  • 容量: 750ml、炊飯量は約1.8合まで
  • 価格: 希望小売価格2,420円(税込)

アルミは熱伝導率が高いので、熱が内部に均一に伝わり、ふっくらとしたご飯が炊けます。そしてメスティンの中にはゴトクやアルコールバーナーが収まります。調理に必要なギアをひとまとめにして持ち運べるので、ソロキャンプのように荷物を減らしたい場面でとにかく効きます。

なお、フタにパッキンは付いていないので、閉めても密閉はされません。汁物を入れて持ち歩くと漏れます。

飯盒とメスティンの違いは「生まれ」にある|日本の飯盒のほうが古い

調べていていちばん面白かったのがここです。メスティンはもともと、兵士が食料を入れて持ち歩いたり、配給を受け取ったりするための器でした。非常時には調理器具やバケツにもなりますが、ご飯を炊くことは想定されていませんでした

いっぽう日本の飯盒は、最初から炊飯の道具として育っています。今のような調理機能を持つ飯盒が採用されたのは1890年(明治23年)で、陸軍火砲製造所が製造したものでした。その後、日清戦争(1894〜1895年)の頃にかけて本格的に広まっていきます。標準的な兵式飯盒は米4合炊きで、本体に2合と4合で使う水量の目安が刻印されています。フタと中子(中蓋)でも計量ができて、フタが3合、中子が2合。米を炊くための工夫がこれでもかと入っています。

図解1 日本の飯盒とトランギアのメスティン、古いのはどっち 1890年(明治23年) 日本:調理機能を持つ飯盒を採用 1890 1970年代 トランギアがメスティンを生産開始 1970s その差およそ80年 ※比べているのは「日本の調理用飯盒」と「トランギアのメスティン」です。 携帯食器としての mess tin 自体は、19世紀のヨーロッパの軍隊にもありました。

トランギアのメスティンと比べると、日本の飯盒のほうが約80年も古いことになります。ただし、携帯食器としての mess tin そのものは19世紀のヨーロッパの軍隊にすでにありました。「日本の飯盒が世界でいちばん古い」という話ではないので、そこは分けて考えてください。

要するに、器としては向こうが先、炊飯道具としては日本が先。これが飯盒とメスティンのいちばん深い違いだと思います。

メスティンでできること|炊く・煮る・蒸す・焼くの全部

私がメスティンを買った直接のきっかけは、比較記事を書いていて「固形燃料だけでご飯が炊けるならやってみたい」と思ったからでした。実際にやってみたら、メスティン初心者の私でも全然かんたんにできました。100均の固形燃料と五徳を組み合わせるだけで、ご飯がかんたんに、しかも美味しく炊けます。子供たちも喜んでいました。

火加減の調整がいらないのがいちばんの理由です。固形燃料は勝手に燃え尽きるので、火が消えたらそれが炊き上がりの合図になります。私は1合なら固形燃料1個で、いつもちょうどよく炊けています。焦がした、芯が残った、といった失敗もほとんどありません。ただし燃焼時間をストップウォッチで計ったことはないので、時間は一般的な目安として読んでください。

図解2 固形燃料25gで1合を炊くときの流れ 1. 浸水 米1合+水200ml 2. 着火して放置 25g・約20分燃える 3. 火が消える =炊き上がりの合図 4. 蒸らす タオルで10〜15分 1.5合なら固形燃料30g。おこげが欲しいときも1合で30gにする人がいます。 冬場や標高の高い場所は火力が足りなくなりやすいので、燃料を多めに持っていくと安心です。 ※私は1合なら固形燃料1個でちょうどよく炊けています。ただし燃焼時間を自分で計ったことはありません。

そしてメスティンは炊飯だけの道具ではありません。炊く・煮る・蒸す・焼くのどれもできます。炊き込みご飯やおこげも作れますし、パスタ、パエリア、オムライス、ドリア、チャーハン、アヒージョ、うどん、ラーメン、シュウマイ、パンまで。もはやなんでもできちゃうんじゃないの?というレベルです。ソロキャンパーはとにかく荷物を減らしたいので、マルチな調理器具は最高ですからね。

炊飯の手順そのものは、こちらの記事に写真つきで書いています。

アルミじゃないメスティンもある

メスティンといえばアルミですが、そうでないものもあります。

流石キャプテンスタッグ、こちらは鉄鋳物のメスティン型ダッチオーブンです。メスティンはアルミだからメスティンと言うと思うので、これはダッチオーブンですね。軽さや熱の回りといったメスティンのメリットはないので、使い勝手は何とも言えませんが、欲しくなるのは不思議(笑)

こちらはベースがアルミなのですが、アルマイト加工がされたクックセットです。アルマイト加工というのは、アルミが錆びないように人工的に酸化皮膜(アルミの酸化物)を生成させる表面処理のこと。かんたんに言えば、表面を保護する処理がされていて、傷・腐食・摩耗に強くなります。

で、どれを買えばいい?トランギア・ダイソー・兵式飯盒の使い分け

こういう人選ぶもの
まず試したい・失敗しても痛くない値段がいいダイソーなどの安いメスティン。買うなら1合より1.5合のほうが後悔しにくいです
長く使う・定番を持っておきたいトランギア TR-210。約1.8合まで炊けて、剛性とフタの合いがいい
焚き火に吊るしたい・4合まとめて炊きたいそら豆型の兵式飯盒。中子でおかずも同時に作れます

正直に書くと、私はダイソーのメスティンを使っていて、全然問題ありませんでした。アルミの質がどうとか、そういう素材の細かい違いは私にはよくわかりません。ちゃんとご飯が炊けて、洗って、また使える。それで困ったことがないからです。

ネット上でも、トランギアとダイソーの両方を使った人ほど「ダイソーで十分」「値段差ほどの差は感じない」と言っている印象です。差が出るのは主に容量(1合だと足りなくなる)と、剛性やフタの合い方あたり。最初の1個で悩んで足踏みするくらいなら、安いほうを買って一度炊いてみたほうが早いと思います。

ちなみに、そら豆型の兵式飯盒は私は持っていません。使ったことがないので、使い勝手については書けません。ここに書いた「焚き火に吊るせる」「4合まとめて炊ける」は、あくまで作りから言えることです。

メスティン同士の細かい比較(トランギア・ダイソー・milicamp)は、実際に並べて別記事にしてあります。

ちなみにメスティンのブームは落ち着きました。それでも私が手放さないのは、停電したときに温かいご飯が炊けるからです。焚き火での炊飯は、今度やってみます。

メスティンのよくある質問

Q. バリ取りは必要ですか?
A. 製品によります。トランギアなどアルミ無垢のものは、フチが指に当たると感じたら紙やすりで軽く整えている人が多いです。いっぽうダイソーのメスティンはフチが仕上げられていて、バリ取りは不要とされています。私はダイソーのものをそのまま使っていて、フチで困ったことはありませんでした。買ったらまずフチを指でなぞってみて、気にならなければそのまま使って大丈夫です。

Q. シーズニング(油ならし)はしないとダメですか?
A. 必須ではありません。米のとぎ汁で煮る、油を薄く塗るといった下ごしらえをする人は今も多いですが、炊飯メインなら省いている人もいます。最近は「シーズニング済み」をうたう商品も出てきました。ちなみに公式が注意しているのは別のところで、強火を避けること、水気の少ない状態で加熱しないこと、この2つです。ここを守らないとアルミが傷みます。

Q. 防災用に持っておく意味はありますか?
A. あると思います。私が防災対策も兼ねてメスティンはあると良いと思ったのは、電気もガスも止まった状態で、固形燃料ひとつあれば温かいご飯が炊けるからです。ただし、いきなり本番でうまくいく道具ではありません。平時に一度でいいので炊いておくことをおすすめします。

洗ったあとに白い水垢のような模様が出ることがありますが、これは水とアルミが反応してできた水酸化アルミで、人体には無害だと公式が明記しています。気にしなくて大丈夫です。

この記事を書いた人

この記事を書いた人

あいすべ
【臨床検査技師・焚き火特化ブログ運営者】

2019年から焚き火専門メディア「焚き火を愛しています」を運営。友人に誘われたキャンプで焚き火に出会い、以来週3回は火を焚く生活を続けている。臨床検査技師という本業の視点から、焚き火に没入してしまう理由を脳科学・心理学の面で調べたのが出発点。庭や河原で焚き火をしてよいのかという疑問から、消防署と法律家に直接問い合わせて確認するなど、自分で確かめたことだけを書くのが方針。焚き火台・薪・革手袋・焚き火シートなどはすべて自費で購入して使い込んだうえでレビューしており、掲載している写真は自分で撮影したもの。

切り株の上に並べた四角いアルミのメスティンとそら豆型の兵式飯盒

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