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焚き火の薪の種類は2つ覚えれば足りる|広葉樹と針葉樹の違いと樹種別の火持ち

薪売り場で「広葉樹」「針葉樹」としか書いていない札の前で、どっちを買えばいいのか分からず立ち止まったことはないでしょうか。私は週に3回は焚き火をしていますが、樹種で迷わなくなったのはわりと最近です。

結論から言うと、覚える木は2種類で足ります。この記事では、その2種類が何なのかと、樹種ごとの癖、そして種類が書いていない薪の見分け方をまとめました。

この記事でわかること

  • 覚える樹種: 着火用と長持ち用の2つだけで、売り場では足りる理由
  • 樹種べつの癖: 火持ち・着火・爆ぜやすさ・匂いを12種類ぶん一覧にしました
  • 表示がない薪: 持った重さと木口の色で、針葉樹か広葉樹かを見分ける方法

この記事の結論(先に要点)

焚き火の薪は「着火用の針葉樹(ヒノキかスギ)」と「メインの広葉樹(ナラかクヌギ)」の2種類を覚えれば足ります。火持ちは木の重さでほぼ決まり、気乾比重はシラカシの0.90からスギの0.36まで2倍以上の開きがあります。樹種の表示がない薪は、持ち上げたときの重さと木口の色で判断してください。

目次

迷ったら「着火はヒノキかスギ、メインはナラかクヌギ」の2種類でいい

売り場で覚えることは2つだけです。火をつける係が針葉樹、長く燃やす係が広葉樹。この2つで足ります。

針葉樹はスギ・ヒノキ・マツの仲間です。まっすぐ速く育つので中の組織がスカスカで、持つと驚くほど軽い。おまけにヤニという油分を含んでいるので、細く割ってやれば簡単に火がつきます。広葉樹はナラ・クヌギ・カシ・サクラの仲間で、時間をかけて育つぶん組織が詰まっていて重い。火はつきにくいけれど、ついてしまえば長く燃えます

違いはこれだけです。密度が低いか高いか、それだけの話で、どちらが優れているという話ではありません。

図解1 樹種の立ち位置(火持ち × 着火しやすさ) ↑ 火持ちが長い 着火しやすい → クヌギ・ナラ アカシア サクラ アカマツ ヒノキ スギ ※濃い色が広葉樹、黄色が針葉樹。位置は気乾比重とヤニの多さから私が並べたものです。

この図の左上だけを買うと痛い目にあいます。実際、Xでは「広葉樹だけ持って行って着火に30分かかった」という声を見かけました。逆に右下だけだと、あっという間に燃え尽きて薪が足りなくなります。最初に針葉樹、火が安定したら広葉樹というのが基本の形です。

1回の焚き火に何kg必要か、何時間持つのかは薪5kgはどれくらい持つ?のほうにまとめてあります。この記事は「どの木を選ぶか」に絞ります。

樹種12種の癖を一覧にした(火持ち・着火・爆ぜ・匂い)

火持ちは木の重さでほぼ決まります。気乾比重はシラカシの0.90からスギの0.36まで、同じ体積で2倍以上ちがいます。

気乾比重というのは、乾いた木が水に対してどれだけ重いかという数字です。1.0を超えると水に沈みます。薪選びではこの数字が大きいほど火持ちが長いと思って差し支えありません。

樹種気乾比重火持ち着火爆ぜやすさひとこと
シラカシ0.90最長つきにくい少ない薪の最高峰。市販ではほぼ見かけない
アラカシ0.89最長つきにくい少ない同じくカシの仲間。薪屋なら出ることがある
ニセアカシア0.80長いふつう少ないという声「アカシア」の名でホームセンターに並ぶ。安い
クヌギ0.77長いつきにくい少ない私の本命。焚くと独特の匂いがする
ミズナラ0.77長いつきにくい少ない「ナラ」で売られる薪の中身。北のものが多い
コナラ0.74長いつきにくい少ないいちばん流通している。迷ったらこれ
ケヤキ0.69長いつきにくい少ない硬い。薪として買うと高くつく
アカマツ0.63短めすぐつく多い針葉樹では重いほう。ヤニが多く火の粉が飛ぶ
サクラ0.60ふつうふつう少ない甘い香り。熾火が安定するので焚き火調理向き
シラカバ0.58ふつうつきやすい少ない樹皮がよく燃えるので着火剤の代わりになる
ヒノキ0.40短いすぐつくふつう針葉樹の中では火持ちが別格。匂いもいい
スギ0.36最短すぐつくふつういちばん安い。煙と煤が出やすい

気乾比重の数字は『板目・柾目・木口がわかる 木の図鑑ー日本の有用種101』に載っているものです。火持ち・着火・爆ぜやすさの欄は、その数字と私が焚いてきた感触を合わせて付けました。測ったわけではないので、目安として見てください。

じっくり燃やす広葉樹(ナラ・クヌギ・アカシア・サクラ)

広葉樹は火がついてからが本番です。熾火が長く残るので、焚き火で料理をするならここから選んでください。

ジョイフル本田の売り場に積まれたクヌギの薪

ナラ(コナラ・ミズナラ)は、薪として売られている広葉樹のほとんどがこれです。比重0.74〜0.77で火持ちは十分、値段もこなれていて、どこでも手に入ります。迷ったらナラを買って間違いありません。

クヌギは比重0.77とナラより少しだけ重く、燃やしたときの匂いが独特です。私が使うことが多いのはこれで、理由は火持ちの理屈というより匂いが好きだからです。ジョイフル本田ではクヌギ・ナラが1束764円でした。値段はホームセンター5社の実測に載せてあります。

アカシアは、いま気になっている木です。ホームセンターで「アカシア」として売られているものはニセアカシアで、比重は0.80。コナラの0.74より重いのに、値段はナラやクヌギより安いことが多いという妙な立ち位置にいます。Xでは「コメリのアカシアの薪は全く爆ぜない」「コーナンのアカシアは5kgで700円台なのに火持ちが良くて火力が強い」といった声が並んでいました。ただし私はまだアカシアを焚いていませんので、これは人から聞いた話として読んでください。次に見かけたら買ってきます。

サクラは比重0.60で、火持ちはナラに一歩譲ります。そのかわり燃やすと甘い香りがします。燻製チップのような強い香りを想像すると肩透かしを食いますが、熾火が安定するので、ダッチオーブンや網を乗せるときには向いています。

調理をするなら広葉樹、というのはこの熾火の話です。針葉樹は炎が大きく上がるかわりに熾火が長続きせず、スギは煤が多いので鍋の底が真っ黒になります。焼き芋のように熾火に放り込んで待つ料理は、広葉樹でないと成立しません

着火に使う針葉樹(ヒノキ・スギ・マツ)

針葉樹は安物ではありません。役割が違うだけで、火をつける速さでは広葉樹がまるで敵いません。

ジョイフル本田で売られていたスギの薪

ヒノキは針葉樹の中では別格です。針葉樹なので火をつけるのが簡単で、その上、火持ちが針葉樹の中ではダントツにいい。持ち運びのときも非常にいい匂いなので、車内が臭くなることがなく、むしろ虫よけ効果があったりします。難点はあまり売っていないことで、私はネットで焚きつけ用を買っています。

スギは比重0.36でいちばん軽く、いちばん安い木です。ジョイフル本田では針葉樹が1束547円、ケーヨーD2ではスギが690円でした。火はすぐつきますが、そのぶん煙と煤が出やすい。Xでも「その辺の杉の枝を入れ始めて煙がすごいことになった」という話を見かけました。焚き付けとして少量使うぶんには優秀です。

マツは針葉樹なのに比重0.63と重く、ヤニがとにかく多い木です。火力は出ますが、爆ぜて火の粉が派手に飛びます。薪が爆ぜるのは、木の中に閉じ込められた水分やヤニが熱で気化して、逃げ場がないまま膨らみ、細胞を破裂させるからです。マツはその材料を人一倍抱えています。

飛んだ火の粉で穴が開くのはたいてい化繊の上着で、綿やウールならある程度は耐えてくれます。マツを使う日は服を選んでください。

なお、拾ってきた木を燃やすときは樹種より先に確認することがあります。毒のある木と、海の流木は焚き火に使ってはいけません。これは流木を薪にする時の注意点にまとめてあります。

樹種が書いていない薪の見分け方

まず持ち上げてください。同じ大きさの束で軽ければ針葉樹、ずしりと来れば広葉樹です。

売り場では「広葉樹」としか書いていない札や、そもそも何も書いていない束がふつうにあります。私もケーヨーD2の段ボール入りの薪を見て、隙間から見える感じで針葉樹だろうと判断したことがあります。手がかりは4つです。

  • 重さ: いちばん確実です。同じ体積で2倍近く違うので、持てば分かります
  • 木口の色: ナラは白っぽく、クヌギはやや肌色。スギは赤みがかった芯と白い縁の差がはっきり出ます
  • 放射状の線: 木口に年輪と直交する細い線が走っていれば広葉樹です。クヌギはこの線がナラよりくっきり出ます
  • 樹皮: 縦に裂けた厚い皮ならスギ、ごつごつと深く割れていればクヌギ、横に筋が入って光っていればサクラです
ビバホームで売られていた薪の木口。乾燥が甘く割れ目が浅い

樹種と同じくらい見てほしいのが木口の割れ目です。上の写真はビバホームで撮ったもので、割れ目が浅い。これは乾燥が甘い薪の顔です。どんなに良い樹種でも、乾いていなければ煙が出るだけで火力は出ません。乾き具合の見方と、湿った薪をどうするかは薪5kgはどれくらい持つ?のほうに詳しく書きました。

週3で焚いている私が、クヌギを選び続けている理由

私はクヌギを買っています。匂いが好きだからで、火持ちの理屈で選んでいるわけではありません。

比重で言えばアラカシやシラカシのほうが上ですし、値段で言えばアカシアのほうが賢い。それでもクヌギに戻ってしまうのは、焚いているあいだの匂いが好きだからという、それだけの理由です。毎回同じ木で焚いていると、その匂いが焚き火そのものの記憶になります。

ひとつ正直に書いておくと、乾燥具合と燃焼速度の関係は私自身で測っていないので分かりません。体感では、乾いた広葉樹のほうが甘い薪より倍は持ちます。数字で裏を取ったわけではないので、そこは体感として読んでください。

樹種を確実に選びたいときは、私はネットで買っています。売り場と違って広葉樹であることと重さがはっきり書いてあるので、当たり外れがありません。

近所で安く済ませたいならホームセンター5社の実測を、現地で調達したいならキャンプでの薪はどうしてる?をどうぞ。

よくある質問

Q. キャンプ場で売っている薪は、広葉樹と針葉樹のどちらを買うべきですか。

A. 両方を1束ずつが理想です。着火に針葉樹、火が安定してからの維持に広葉樹を使います。どうしても1束だけなら針葉樹にしてください。広葉樹だけだと、火をつける段階でつまずきます。

Q. サクラの薪は本当に良い匂いがしますか。

A. 燻製チップのような強い薫香ではなく、燃えているあいだにかすかに甘い香りが漂う程度です。香りより、熾火が安定して焚き火調理に向いていることのほうが実用的な長所だと思います。煙は出やすいほうです。

Q. 焚き火で燃やしてはいけない木はありますか。

A. あります。毒を持つ木(キョウチクトウなど)、塩分を含んだ海の流木、防腐処理や塗装がされた建築廃材は燃やさないでください。詳しくは流木を薪にする時の注意点に書いています。

まとめ

焚き火の薪は、着火用の針葉樹と長持ちさせる広葉樹の2種類を覚えれば足ります。売り場で迷ったらナラを買ってください。

そのうえで、火持ちが欲しければクヌギやカシ、安く済ませたければアカシア、料理をするならサクラ、というふうに寄せていけば失敗しません。樹種の表示がない束は、とにかく持ち上げてみることです。軽ければ針葉樹、重ければ広葉樹。これだけで半分は分かります。

私はしばらくクヌギを買い続けると思いますが、アカシアは近いうちに試してみます。焚いたらこの記事に追記します。

この記事を書いた人

この記事を書いた人

あいすべ
【臨床検査技師・焚き火特化ブログ運営者】

2019年から焚き火専門メディア「焚き火を愛しています」を運営。友人に誘われたキャンプで焚き火に出会い、以来週3回は火を焚く生活を続けている。臨床検査技師という本業の視点から、焚き火に没入してしまう理由を脳科学・心理学の面で調べたのが出発点。庭や河原で焚き火をしてよいのかという疑問から、消防署と法律家に直接問い合わせて確認するなど、自分で確かめたことだけを書くのが方針。焚き火台・薪・革手袋・焚き火シートなどはすべて自費で購入して使い込んだうえでレビューしており、掲載している写真は自分で撮影したもの。

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